堰出し (せきだし)

さて、今回はオーソドックスなローケツ 堰出し について・・・

この技術は、色を挿したい所の周りを 蝋で囲って 周りに染料が滲んでいかない様にするんだ。

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このとき使う蝋は パラフィン という一般的には蝋燭で使われてる蝋を使うんだ。
パラフィンは他の蝋に比べると 値段が安い ので、細工をするのではない 堰だし にはもってこい。

パラフィンはワックスに比べると サラッとしていて、わりと扱いやすいと思うよ。
ただ、脆いので 友禅伸子に張ってあればいいけど、張り替えたり 動かしたりする時には御注意!

地色が割りと淡めで、挿し色が濃いような↑写真のような仕事の場合は 地色を染めてから
堰出し をして、挿しをすれば それ程問題なくていいんだけど
   地色が濃くて、挿し色が淡いような場合
   地色は淡いんだけど、挿し色も淡く 違った系統の色の場合 (地色の影響を受ける)
こんな時は 白付け で一度 白く抜いておき、アイロンで蝋取りをして
その部分を逆に堰出してやって 挿し をしてやれば 地色の影響 を受けなくて済むよ。

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この時、化学染料で 濃い地色で まだ蒸しをしてない ような時は キッチリ 堰出してやんないと
地色が挿し色のほうに 泣き出す(染み出す) から気をつけてね。
挿す時は、前の蝋分が残っていて染料をはじくので 浸透材を適宜入れてやって。
 (もし無かったら 台所用洗剤 をほんの少し入れてやれば、急場は凌げると思うよ)

これで 堰出し の基本的な事は終わり。

ただ、つまんない?堰出しも 直線で堰出すのではなく 
   ガサガサ と堰出してやれば、紙を破いたような感じになるし
   際を ドライヤー であぶってやれば、ボーッとした感じになるしで
工夫次第で、面白い効果が出来るのでイロイロ試してチョ!

なんか面白い効果出来たら 教えてね!               じゃ!



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2007年09月01日 Posted by 染師 麗 at 01:08堰出し

白蝋 調子

白蝋で 染み方の濃淡を付けてやる  調子  仕事について。

“白蝋” という蝋は、完全に防染してしまうのではなく 蝋の厚みによって染料の染み方に差が出てくる蝋なので
イロイロな細工をするには 便利な蝋なんだ。  (木蝋を精製した蝋)
“調子” というのは、この白蝋を使って柄に陰影を付けてやる仕事なんだ。


  
↑これは、波頭をイメージした柄なんだけど 波頭の部分を白蝋で陰影を付けながら 
(蝋の厚い・薄い部分を作りながら) 蝋を置いてくんだ。
他の記事で 何回も書いているんだけど、蝋の厚みがある部分は防染が強く 薄い部分は染みるんだ。

  
↑引き染した後。  染料が染みてるのが わかるでしょ。
化学染料なら これで終わって 蝋取りに。  (オレは天然染料を使ってるので この後 媒染)

  
↑鉄で媒染後。  一度目に染みた染料が発色して 染み方が良くわかるでしょ。
ただ、何回も染重ねてると 蝋が痛んで (特に薄い部分) 
薄い部分と厚い部分の差が かなりハッキリしてしまうので2~3回で終わらせるようにした方がいいかも。 

水墨画でいう 付け立て のような感じ???
先ずは始めに 何処を染みさせて、何処を防染させたいか イメージしてから仕事に掛かってチョ!

  染めたすぐ後は
  ←こんな感じで染料をはじいてるので
  半乾きになるまで 染料を拭き取った刷毛で
  何度か擦ってやって 面倒を見てやって。
  “染料を摺り込む” っていう感じ。

  このまま放って置くと、染料の粒の感じが
  そのまま出てしまうので 注意!


この仕事は、やってる人の “息遣い” が感じられて、表現する という事では なかなか使える・・・
白蝋で、友禅した柄をふせたり バック処理に使ったり ・・・  使い道はタップリとある。

  関連記事  もどうぞ。


ただ危険な事は、蝋で染みさせると “奥行き” が出て 自分の持っている技術以上に上手く見えてしまうので
こればっかり多用するようになっちまう。  ホント危険だと思う。
“こんな効果が欲しいから・・・” といった明確な意思を持って使うように、心がけたい・・・
 
    自分自身への戒めでもあるんだけどね。           じゃ!



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2007年09月01日 Posted by 染師 麗 at 01:07調子

白蝋起こし 2

ほとんど前回の 応用? なんだけど・・・   (今回の柄は“起こす”というより“調子”なんだけど・・・)

白蝋だけで 柄を起こしながら 蝋ふせするのは,場面が小さかったり 簡単な柄ならいいんだけど
柄の形をキッチリさせたかったり、もっと細かい細工をしたい場合
先ずは 白付け をして柄の形を抜き、それから 堰出し して余裕を持ってやった方がいい時もあるんだ。

 → 
↑白付けをして 柄を抜いて 蝋取り後 堰出しをして 色刺し。
この時、刺しをする色を何色かで ぼかしてやっても面白い (深い) 効果が出るよ。
この 刺しをする時 白付けした時の 蝋分 が残っていて 染料をはじいて 刺しがしづらいと思うので
浸透剤を適宜入れてやってね。  (あまり入れすぎると色が柄の周りに寄っちゃうよ)

さて、ここまで準備が出来たら 白蝋仕事。

  ←白蝋をおいた後。

  照りのある部分が蝋の厚い所
  (染料をはじいて 地色が残る)

  照りの無い部分が蝋の薄い所
  (染料が染みる)


  浸透剤を入れるので 充分
  “掛け色”は染みるんだけど
  染料の乗りを もっと良くする為
  それと浸透剤の量を少なくする為
  乾いた 丸刷毛で軽く擦ってやって
  蝋の表面に満遍なく
  小さな傷 を入れてやるんだ。


  その後 浸透剤を入れた染料で刺し

  ←写真だと幾らか染料をはじいてるよね
  チョット浸透剤が、少ないかもしれない。

  そしたら、もう少し浸透剤を足してやるか
  面倒を見てやればOK


  浸透剤を入れると 染料の
  “表面張力”が無くなるので、傾いてると
  だんだん染料が下側に寄ってきて
  最後には 堰出し した蝋の外側に
  染料が走ってしまう (流れる) という
  思わぬトラブルが出たりするので
  刺した後の生地は 傾けないように注意!
  掛け色が乾いたら、この後 蝋取り

掛け色 が化学染料だった場合、特に 蝋取り は 蝋の上の染料がジックリ染みる様に。


・・・ 追記 ・・・
白蝋仕事の場合 (特に 調子を付けたり、起こしたり) 蝋の厚い部分を作るのはそれ程難しくは無いんだけど
蝋の薄い部分を作るのに チョットばかり練習が要る。   その練習方法?なんだけど・・・

こぼれた水滴を よく水分を拭い取った筆で “ヒョッ” と取る感じ。
  (水分は多い方から少ない方へ行こうとするから)
これを白蝋でやるには、一度 蝋の中に筆をどっぷり浸けてやって 暖かい蝋を筆に含ませて
その蝋をしごき取って 作業してる部分に持ってく感じ。
のんびりやってたら 作業してる部分の蝋が冷えてしまうので話にならないよ。 テキパキと!
     ・・・ホントは、やってるところを観れば 一目瞭然 なんだけどねぇ。

・・・でも、感じは そんな感じ。                じゃ!



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2007年09月01日 Posted by 染師 麗 at 01:06白蝋起こし