ボカシ染

今回は、地色を途中から変える  ボカシ染  について

地色を 濃淡でぼかしたり、同系色の色でぼかしたり する時に使う技術なんだけど
 (色の系統が反対の時は、途中にクッションになるような色を入れたほうがいいと思う)

先ずは、ボカシをする二色の色を作って “頭の中” で工程の シュミレーション
作業を始めたら、一気に突き進まなければ なんないからね。
 (初めてボカシをやる人は、色の 濃淡 からやるのが無難だと思うよ)

・・・では、いくジェ!

  先ず、ボカシをする部分を中心に
  霧を吹く  (勿論 水 です)

  この時 出来るだけ 細かい霧 にする

  一点だけにならないように
  動かしながら


  濡れてる部分 と 濡れてない部分 が
  出来るだけ なだらか なるように

  霧の吹き始めは 生地の外側から
  霧が安定したら ボカシのあたりへ
  吹き終わりも 生地の外で終わるように



大袈裟に言えば、ここまで上手く行ったら 半分終わったようなもの。
この段階は 試しの生地で何回でも練習が出来るから いっぱい練習して!

  先ずは
  淡い色 の方から 染め始める

  ボカシの近辺に来たら
  もう、刷毛に染料は浸けないで
  刷毛の染料の “含み” を少なくする



  ボカシの合口部分よりも
  濃い色側までボカシていく

  この時 刷毛に染料の含みが多いと
  なだらかに薄くなっていかないので
  ボカス部分の手前で 充分に刷毛の含みを
  少なくしておく様にね。


  次に 濃い色を染め始めるんだけど
  これも始める前に、充分に刷毛に染料を
  馴染ませてやって
  できるだけ染料を切って
  刷毛の含みを少なくしておくんだ。

  ボカシの合口くらいから
  “ふわっ” と染め始める

  そして、濃い色を染めきってしまう。
  ボカシ部分は軽く整えるだけにして
  先ずは、全体を染めきる。

  色の 薄い染料 と 濃い染料 の
  水分量を大体同じくらいにしとかないと
  多いほうの染料が押してくるからね。


  全体を一応 染め終えたら
  先ず、ボカシ部分のあたりを
  薄い色の染料を少し補ってやって
  濃い色が押して来ないようにしてやる。
  それから、濃い色で ボカシ部分を
  整えてやるんだ。
  ネチネチとボカシ部分ばかりやってると
  地の部分が乾き始めてしまうから注意!
  
  裏刷毛 する時も 薄い色から
  薄い色の刷毛を 濃い色のほうまで
  持ってってやってから
  濃い色の刷毛でボカシ部分を整える

  そして、また表に返して
  地色の部分を 返し刷毛 しながら
  半乾きになるまでボカシ部分の様子を見る

半乾き になる前なら、ボカシ部分の濃い色のほうなら 薄い色のほうへ押してく事も出来るよ。
濃い色の染料を刷毛に少し浸けて、薄い色のほうへ染めてくんだ。  なんとなく感じはわかるよね。
この時、ボカシ部分だけしかやらないと 地色全体より そこの部分が濃くなってしまうから
全体的にやってやらないとダメだよ。
薄い色を濃い色のほうへ押してくのはキビシーけども・・・

こうして、ある程度乾くまで様子を見ながら・・・  (生地が傾いたりしないようにも気をつけて・・・)

  ←乾いたらこんな感じ
   (今までの写真とは向きが逆ですが・・・)
  こんな感じでボカシ部分が長いやつを
  “ボカシの足が長い” というんだ。
  ぼかした色同士がハッキリする様なのを
  “足が短い”といって 濃い色の染料の加減で
  調節するんだ。


引き染を “専門” としてやってる方達は、もっといろんな技術があると思うけど (モチロンだよね)
これくらい出来れば、作品を創るには充分だと思うよ。

  引き染も勿論だけど
  ボカシは、いったん始めてしまったら
  途中で考えたり出来ずに 一気に染めきってしまわなければ
  上手く行かないので、始める前に頭の中で
  充分に シュミレーション してから始めてね。

  それと、ぼかす二色の水分量が同じになるように注意!
  生地の傾きにも注意して 半乾きになるまで 気を抜かないように    



失敗 も自分の重要な “持ち札” になるので、恐れないでチャレンジしてね!      じゃ!



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2007年07月05日 Posted by 染師 麗 at 00:01ボカシ染

ふのりボカシ・・・?

さて今回は・・・

一応 オレ自身で考えた技法なんだけど、こんなのは容易に思いつくので やってる人はイッパイ居ると思う。
始めた最初の頃に “ふのり” を使ってやってたので  ふのりボカシ  と命名?

要は、染料に “止め” を入れてやって、染料の染みる速度を落として “ボカシ足の短い” ボカシをやるんだ。

  オレは “泣き止め” に レベリンE というやつを使っている。
  以前は、ふのりを使っていたんだけど 夏場はすぐに腐って
  シャブシャブになってしまうので 市販のなき止めにしたんだ。

  泣き止め にも数種類あるんだけど、オレは このレベリンが
  使い易い。  (イロイロ試してチョ)

こいつを “ボカシのモト” となる染料と、良く混ぜる。  ダマ?にならないように よーく混ぜてね。

 → 
感じとしては↑写真のように両方を一遍に混ぜるのではなく
泣き止め に 染料 を少し入れては混ぜ、また少し入れて混ぜ、また・・・といった感じの方が良く混ざるよ。

泣き止め の “重さ” (粘度) は、そのボカシの足の長さによって調節する。
(これは、試し染をして自分で決めるしかないので、億劫がらずに試してね)

  始める前に シュミレーション。

  どこで どんな感じ でボカスか 良~く考えて。
  
  染料も間違えないように、それぞれの場所に用意。

      ・・・さて、気合が入ったらはじめるよ!





  ←この写真の場合直線でボカシ。
  勿論 曲線・いろんな形にできるよ。

  ボカシの部分は絵を描くような感じで。
  地色側は、徐々にボカス。
  “止め” が入ってるとはいえ 徐々に染みるので
  テキパキと仕事をこなす。


  地色側は “止め” の入ってない染料で染める。

  “止め” の入ってる・入ってない部分の境が
  付いてしまう事が有るので、全体を染終えてから
  最後に、そこの部分の面倒を見る。

  先ずは、全体を染め上げる。


  もう片側は “止め” が入って無くてもOK。
  ただ、染料の量が多いと 先に染めた方へ
  後からの染料が押してくので、
  良く切った刷毛で染め始める。
  ボカシくちを逢わせるという感じ。

   (一人で三脚&タイマーで撮ってるので
    手元が写ってないけど、ゴメンして)

  細かい事は後に回して
  先ずは、全体を染め上げる。

  注意する事は、先にも書いた
  “止め” の入ってる・入ってない部分の境を
  刷毛で良く馴染ませてやる。
  それと、ボカス両側の染料の量を
  同じになる様に気を付けて。

ボカス部分は “染め逢わせる” という感じ。
止め の入った染料部分が上手くできれば、後は何とかなるよ。
先ず、ボカス部分を全体的に一度染料で描くように染めて、後から肉付けする様な感じで。
(この間、地色側になる方は空ボカシをするように)

  ←染を終えて

  “ふのりボカシ” の部分はわかると思うけど

  その他にも

  上部の赤茶地部分に 足の少し長い ボカシ。
  下部のグリーン地部分に 
  垂らし込み&濡れてる間に濃い色のボカシ。


  化学染料なら上までの工程で終了なんだけど
  オレは天然染料を使ってるので この後 鉄媒染。

  ちなみに赤茶地部分は ヘマチンに蘇芳を混ぜた染料。
  グリーン地部分は 青味が欲しかったので
  渋木に化学染料のブルーを加えた染料。

  鉄媒染時は “引き切り”



  ← “ふのりボカシ” 部分の拡大
  “ボカシ”というには足が短いし、“素描”とはまた違う
  ナンカ変わった効果でしょ。

  考えれば、イロイロ応用できるよ。



   ・・・応用編・・・


  その1
  ←こいつは “ふのりボカシ” のみでの仕事。
  一度全体を 生成地 に染める。
  黄色の染料に ふのり (止め) を入れる。
  その、止めの入った黄の染料で堰きだすようにして
  グリーンの部分をボカシながら染める。
  生成地の部分も 水 でボカシとく。
  仕事の説明だけなら こんな感じで簡単なんだけど
  仕事に掛かったら 最後まで休めるとこが無いヨ。


  その2
  ←こいつも “ふのりボカシ” のみ。
  上の着物が “堰出し” っぽい仕事なら
  こいつは “友禅” っぽい仕事。
  黄色の線部分の染料にのみ 止め を入れ
  そこを 友禅の糸目に見立て 刺しをしていく。
  糸目を引きながら 刺しを同時にやる といった感じ。
  (だから同じ円周上でも違う太さの部分があるでしょ)
  こいつは見た目より “手間・根気・集中力” が要る。
     (その割には地味な感じ?)


どの仕事(技術)でもそうなんだけど、考えれば マダマダ工夫の余地はあると思う。        じゃ!



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2007年07月05日 Posted by 染師 麗 at 00:02ボカシ染