ローケツ 準備

ローケツ って蝋を溶かして 生地の上で固めて その蝋が水分をはじく事で
染まらない部分を作ってく技術だって もうわかってるよねぇ・・・
だから 蝋の種類 でそれぞれの “効果” の違いができてくるんだ。

 

  ↑左から マイクロワックス・パラフィン・白蝋   
   (オレが常時使ってるのは殆どこの3種類で、イロイロ細工する時に少し変えたやつを使うんだ)

マイクロワックス : 防染力が強く、粘りがあるので割れにくい。 融点が高いので固まるのが早い。
             主に 白付け と言われるバッチリ染まらない部分を作るときに使う。
パラフィン     : 現在良く使われる蝋燭の蝋。 防染力はあるが脆いので セキだし に使う。
             脆くヒビも入りやすいので、ヒビの入りやすい蝋と混ぜてヒビの加工にも使う。
白蝋        : 防染力はそれ程強くないので、イロイロな加工をする時に使う。
             木蝋を精製した蝋。
      その他 : 木蝋・蜜蝋・ステアリン・いぼた蝋・カルナバワックス・・・
(興味のある人は、わりといろんな染色の本に出てるので調べてみて。でも大体 上の3種 で間に合うと思う)

さて、蝋を溶かす時なんだけど 染色材料店とかで メルポット というサーモスタットで温度を保てるやつが
あるんだけど、板で枠を作ってやってヒーターの位置を変えてやれば、充分いけるよ。
結局は、仕事をする時のロー筆の温度が大事なので、いくら蝋鍋の温度が最適でも
筆に蝋を浸けてから モタモタしてたら何にもなんないしで・・・

 

蝋の温度の目安なんだけど、それぞれの蝋によって最適な温度は勿論違うので

蝋を生地に付けたときの生地に染みてくスピードとか
蝋鍋を筆でかき混ぜてる時の蝋の粘り具合とか
蝋鍋から上る煙?(勿論僅かといった程度・ガンガン上がってたら温度高すぎ)  

とかで ヒーターのどこら辺に置いたら (中心部なのか端っこなのか) 自分には使い易いかを判断してね。
勿論、夏場・冬場では 蝋の固まるまでの時間も変わってくるしで、これはもう人それぞれ。
オレは、生地の端 (仕立て上がったら隠れてしまうようなとこ) で試してみるのが一番わかりやすいと思う。


蝋筆なんだけど、普通の筆と違って温度の高い蝋に浸けての仕事になるので、痛みが激しいんだ。

 

左写真の下から、未使用・下ろしたて・相当使い込んだ筆 (全部同じ筆だけど筆先が全然違うでしょ)
温度の高い蝋で使うほど痛みが激しいので、温度の低い蝋から使って高い蝋にまわしてくといいよ。
それと筆下ろしをする時は勿論、蝋仕事をする時は毎回 蝋鍋の蝋が解けたくらいの低い温度の時に
右写真のように、くたびれた筆で 使う筆にゆっくり蝋を 馴染ませてやると筆の持ちが良くなるよ。
蝋の温度が高いところへ いきなり筆を突っ込むと 天ぷらみたいにチリチリになってしまうから気をつけて!



それと、ローケツの場合は ほとんどなんだけど 生地が乾いてる間に 
“蝋で柄の部分を固める” という感じだよね。  それから染めると 生地が水分を吸って伸びて
蝋の置いてある部分と、無い部分で伸縮率が違って弛みが出てしまうんだ。
 → 
↑こうなってしまうので、両側からゆっくり引っ張ってやって小張りを打ってやるんだ。
じゃないと この歪みが乾いた後に模様?になって残ってしまうよ。



ローケツの準備はこんな感じかな・・・                   じゃ!



      技術 INDEX へ戻る

  


2007年09月09日 Posted by 染師 麗 at 00:00ローケツ