白蝋 調子

白蝋で 染み方の濃淡を付けてやる  調子  仕事について。

“白蝋” という蝋は、完全に防染してしまうのではなく 蝋の厚みによって染料の染み方に差が出てくる蝋なので
イロイロな細工をするには 便利な蝋なんだ。  (木蝋を精製した蝋)
“調子” というのは、この白蝋を使って柄に陰影を付けてやる仕事なんだ。


  
↑これは、波頭をイメージした柄なんだけど 波頭の部分を白蝋で陰影を付けながら 
(蝋の厚い・薄い部分を作りながら) 蝋を置いてくんだ。
他の記事で 何回も書いているんだけど、蝋の厚みがある部分は防染が強く 薄い部分は染みるんだ。

  
↑引き染した後。  染料が染みてるのが わかるでしょ。
化学染料なら これで終わって 蝋取りに。  (オレは天然染料を使ってるので この後 媒染)

  
↑鉄で媒染後。  一度目に染みた染料が発色して 染み方が良くわかるでしょ。
ただ、何回も染重ねてると 蝋が痛んで (特に薄い部分) 
薄い部分と厚い部分の差が かなりハッキリしてしまうので2~3回で終わらせるようにした方がいいかも。 

水墨画でいう 付け立て のような感じ???
先ずは始めに 何処を染みさせて、何処を防染させたいか イメージしてから仕事に掛かってチョ!

  染めたすぐ後は
  ←こんな感じで染料をはじいてるので
  半乾きになるまで 染料を拭き取った刷毛で
  何度か擦ってやって 面倒を見てやって。
  “染料を摺り込む” っていう感じ。

  このまま放って置くと、染料の粒の感じが
  そのまま出てしまうので 注意!


この仕事は、やってる人の “息遣い” が感じられて、表現する という事では なかなか使える・・・
白蝋で、友禅した柄をふせたり バック処理に使ったり ・・・  使い道はタップリとある。

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ただ危険な事は、蝋で染みさせると “奥行き” が出て 自分の持っている技術以上に上手く見えてしまうので
こればっかり多用するようになっちまう。  ホント危険だと思う。
“こんな効果が欲しいから・・・” といった明確な意思を持って使うように、心がけたい・・・
 
    自分自身への戒めでもあるんだけどね。           じゃ!



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2007年09月01日 Posted by 染師 麗 at 01:07調子