蝋ヒビ (カルナバワックス)

今回は 硬い感じのヒビ を入れてみます。    では、早速・・・


蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 写真左 白いのが ステアリン酸
    写真右 茶色いのが カルナバワックス

  どちらも “硬い感じのヒビ” が入る蝋です。
  どちらも単体での使用はしないようで、他の蝋に混ぜて
  使用するようです。



オレは それ程しょっちゅうヒビの仕事をするわけではないので、あまり偉そうに人様にレクチュアーするのは
おこがましいのでありますが、数少ない経験の中から・・・

さて、この “ガラスが割れたような感じの硬いヒビ” が欲しくて研究した頃に 上記の2種類の蝋を
試したのですが、ステアリン酸の方はイマイチピンと来なかったので 以来カルナバワックスを使用してます。
(配合が良くなかったり、経験も無かったせいも多々あるでしょうが・・・)


さて他の蝋との配合ですが、オレは値段も安く 割と硬めのヒビの入る パラフィン と混ぜてます。
それ程 多くの試しをしたわけではないのですが、パラフィン と カルナバワックス の割合を
6:4 ~ 7:3  位で使用してます。
(一応目安なので、皆さん各々イロイロ試してみて下さい)


このカルナバの蝋も 一度置きでは 硬い感じのヒビは入りません。

蝋ヒビ (カルナバワックス)
  ← 照りの加減で、蝋の重なりが
  分かると思いますが、左よりカルナバを
  1度、2度、3度、4度と置いてます。


蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← それに それぞれ同じようにヒビを入れ
  染めてみると こんな感じに染みます。
  一度置きでは、蝋自体の色被りも見られます。


蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 上部の小針の置いてある部分が
  蝋の重なりの境です。  だいぶ違うでしょ。
  “硬いヒビ” の感じが得られるのは
  3度置き以上ですネ。

まぁ ヒビの入り方は 周りの気温にも左右されるようで、一概には言えませんが・・・
(いつもは寒い時期にやる事が多いのですが、今回は真夏日にやったので)


さて、本チャンへ・・・

蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 今回は 全場面をやるので 刷毛で蝋を置きます。

  全体的に 出来るだけ均一に。
  生地の裏までチャント蝋が抜けるように。
  (生地裏まで蝋が抜けてないと 蝋にヒビを入れてから
   染めた後に抜けてない部分に染料が回り込んでしまう)


蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 2回目の蝋は 方向を変えて・・・

  別に同じ方向でも構わないんだけど 出来るだけ
  “蝋の厚み” を同じにしたいので。
  また、筆の置き始めは 蝋の厚みが厚くなるので
  置き始めの位置を バラけさせて同じ部分だけが
  厚くならないように注意。

蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 結局 方向を変えて 4回 蝋を置きました。

  前に置いた蝋が少し冷えてから 次に掛からないと
  なかなか蝋の厚みが出せないので注意。

  それほど大きな作品ではありませんが
  蝋の重みが ズッシリ・・・ 蝋の表面もツルツル。

さて、蝋置きが終ったら次の段階 ヒビを入れる。

蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 友禅伸子から外す段階で既にヒビが入ります。

  一気に 思い切り ヒビを入れるのではなく
  注意深く少しづつ 生地の両側を手でサンドして
  ヒビを少しづつ入れてくような感じ。
  急な角度で 蝋にヒビを入れると 蝋の厚みがある分
  蝋が剥がれてしまう事が多々ありますので注意!

蝋ヒビ (カルナバワックス)
  ← 先ずは大雑把にヒビを入れる。

  “ヒビを入れる” というのは 意外と簡単に
  考えてしまうかもしれませんが、ケッコー根気の要る
  仕事ですので、気合を入れて。


蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 細かいヒビを入れていくには
  指先で 割れた蝋の間に 更にヒビを入れてく感じ。
  (写真 人差し指・中指の生地裏には他方の手の指)

  ここで焦ってしまうと 細かくヒビの入った蝋が
  剥がれ落ちてしまったりするので根気強く!


蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 最終的にこれ位までヒビを・・・

  今回は瀬戸物の表面のガラス質部分に入ってるような
  感じのヒビが欲しかったので こんな感じ。
  勿論それぞれの作品で 欲する感じが違うと思うので
  それぞれに “試し” をして 自分の欲しい感じを
  工夫して下さい。

蝋ヒビ (カルナバワックス)  今回は 記録的な暑さの夏の終わり
  室温が未だ30℃越えの時期だったので
  “蝋が剥がれそう” という感じは余りありませんでしたが
  冬場の寒い時期なら 写真中央部の白くなってるような
  部分は蝋の剥がれる危険がタップリです。
  また この部分は 染料が溜まってしまう事も多々・・・


さて、いよいよ “染” に掛かる。  

このヒビの上から掛ける染料の濃度がとても難しい!     必ず事前に 試しを!
掛色の染料に 少々多めに “浸透剤” を入れ (蝋の上でも染料がハジかないくらい)
丁寧に蝋の上を刺して行きます。  (蝋の上に染料を乗せるという感じ)
この時 生地が傾いてると 浸透剤が入った染料は他の部分へ流れてしまうので 要注意!

蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 兎も角は 生地が傾いて 他の部分に
  染料が流れて 他部を汚さないよう注意しながら
  半乾きになるまで 面倒をみる。

  この段階では (蝋の上からでは) 上がりが
  どれ位になるのか 判断が難しい・・・
  ので、試し染は 入念に!

蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 蝋取り・蒸しを終えて。

  掛色 濃すぎました・・・

  上記の 試し染で使った染料だったので
  調子良いと思ったのですが、掛色の染料の
  鉄が最初からの 地色の矢車にも反応
  したようで、思った以上に濃くなってしまった・・・


こんな事が多々あるので、皆さんも作品創りに際しては 入念に “試し染” をして下さい!


・・・さて、その他にも ヒビの入れ方に こんな方法も。

蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← やはり カルナバを 4回ほど置いて・・・







蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 机の角のようなところで
  蝋を “直線的” に折ってから・・・






蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 周りに 掛色の染料が染みないよう
  パラフィンで 堰き出す






蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← 浸透剤をタップリ入れた染料を
  刺します。 (乗せてくような感じで)

  (上記の瀬戸物のようなヒビの説明で
   この部分の写真を撮り忘れたので・・・)



蝋ヒビ (カルナバワックス)  ← こんな感じの またチョット
  違った効果が得られます。

  (蝋取り・蒸し終えての様子)

  皆さんもイロイロと試して 面白い効果が
  あったら 是非 教えて下さい。
  では、健闘を祈る!



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2007年09月01日 Posted by染師 麗 at 01:04 │蝋ヒビ


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