撒き蝋

  仕事が大分進んでしまいましたが、今回は “撒き蝋” など・・・

  蝋飛沫(ろうしぶき) とも呼ばれる技術。
  筆につけた蝋を パッとはじき、蝋の粒粒を散らすんだ。
  バックの処理とかに使われる事が多いね。



  先ずは 友禅 をして 柄の部分に蝋を置いて
  ベースとなる地色を染めてある。

  その上に 上写真のように 蝋の飛沫を飛ばしていく。
  ← 一回目の撒き蝋が終って 次の色を染める前
   (実際は写真で観るよりは蝋の飛沫が飛んでる)


  表側からだけだと 生地に蝋の粒の飛んで来た時の温度のとか
  蝋の飛沫の粒の大きさの違いで 表側からの見た目だけでは
  わからない “ムラ” があるので 裏側からもムラを均すように
  少し蝋を撒いてやると より均一になるよ。



  その後に 撒き蝋後の一度目の染をカマす。

  同じ “白蝋” を使っているんだけど
  調子起こし のように 引き染 後
  蝋の上の染料にあまり気を使わなくてイイので楽???



  ← さらに もう一度 撒き蝋をして染てから
  もう一度撒き蝋をした後 (計3回の撒き蝋)

  かなり生地に光沢があって 染めた後のように見えるけど
  未だ染めておらず 蝋の光沢のみ



  ← 上写真と同じ時の撮影なんだけど
    表と裏では かなり差があるでしょ。

  表側は蝋の上に さらに蝋が乗っかって 厚みを増すけど
  裏側は生地に 染みた蝋の重なりだけだからなんだ。
  だから 裏側からも少し蝋を撒いといた方が、蝋の
  染み込んでない部分を埋めることができてイイんだ。



  最後に 淡い鉄 を引いて、今回の仕事は終わり。

  奥の方で 紫 に見える部分は 撒き蝋をしてないので
  それまでに染重ねてきた 染料・媒染剤 の全部の
  合計?の色だよ。  (まだ乾いてないから濃く見えるけど)


撒き蝋をしてる部分は 蝋 があるので、生地にそれほど 染料が染みなく 乾くのが早いんだけど
撒き蝋をしてない部分は、天気があまり良くなかったので なかなか乾かず 撒き蝋仕事だけで
3日ほど掛かってしまった・・・    (その他の仕事もやってたけど)

イイ感じに上がってっと “し・れ・う~!” なんだけど・・・           じゃ!
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2007年04月01日 Posted by 染師 麗 at 01:02仕業中

ふのりボカシ

さて今回は “ふのりボカシ” のライブ?など・・・

  化学染料なら 問題は無いんだけど、オレは天然染料を
  使ってるので “媒染” という作業をしなくてはならないんだ。
  染料 と 媒染剤 を混ぜると 染料が “顔料化” して
  生地にうまく染まりつかないんだ。
  ← そこでこの “一液用媒染剤” の出番!

コイツは 田中直染料店 で出してる商品で、染料と混ぜた時に 仮発色をして、蒸しをしながら
発色・定着をするという事らしいんだ。   (なかなか優れモノだと思う)
引き染にも使えるという事なんだけど オレはほとんどの場合、友禅の彩色をする時のみで使ってるんだ。
ただ、今回はイッパツで染をキメなければならないので、コイツにお願い!

  
 ↑ 色を創って                    ↑ 試し蒸しをして確認

・・・さて、いよいよ ふのりボカシ の準備。

  
 ↑ これ位の量のふのりを入れて         ↑ 染料に良く混ぜる。

ふのりの量は “ボカシの足の長さ” やら “仕事場面” などで その時々で違う。
今回は 数場面あるので ふのりの量は かなり多め。  (時間稼ぎの為)

・・・さて、準備も出来たところで いよいよ仕事に。

  今回は 三色のボカシ なので 先ず 間の色から。
  (この染料にのみ ふのり が入ってる)

  ← 写真でわかるように ふのりがタップリ入ってるので
    染料が盛り上がってるでしょ。
  これで 蝋ケツの “堰出し” をしてるような感じ。


  次に ボカス側の 染料を ボカシ口に合わせる様に。

  この時 染料の量が多すぎると ふのり入りの染料の方に
  はみ出してしまうので 幾分少なめに。
  少々の問題 があっても、とりあえずドンドンと進める。
  細かい事は “全体の染” が終ってから!



  もう片側のボカシ口も ふのり入りの染料で。






  (←同じ角度での写真を撮り忘れた?)
  もう片側も ボカシ口を合わせる。
  とにかく 少々の問題は 後から何とかするという事で
  スピードつけて 一気呵成に!

  ← 写真順番は 1.半円部ピンク地に面した部分のふのり入り染料置き
  2.半円部のピンク染 3.グリーンに面した部分2箇所ふのり染料置き
  4.斜ピンク地に面した部分のふのり染料置き 5.斜ピンク地染
  最後に 現在写真 無地部分の染

・・・さてここまで一気に染めて来たので、これから細かい部分の修正に。

  ← ボカシ部分を整えたり
  地色となる広い部分を均等に染めたり 裏刷毛したり
  盛り上がってしまってる ふのり染料部分を均したり
  細かい事は 最後の最後に。
  手早く行わないと最初に染めた染料がドンドン乾いてしまう。


ちなみに今回の染料は・・・   
ピンク : 蘇芳×アルミ  ・  グリーン : 渋木・ヘマチン×鉄  ・  黄 : 矢車+渋木×アルミ

  ← 仕事が終って まだ乾いてない状態

  今回は ふのりの量 が多かったので
  ボカシの足は かなり短め。
  (乾く前なら もう幾分はボカシの足を調節できる)




この “ふのりボカシ” は、なかなかメインの仕事とは観てもらえず 評価されにくいんだけど
実は細かい友禅なんかしてるより よっぽど集中力が必要だし、途中で休憩を取るような事もできず
イッパツで All or Nothing な仕事なので、とても大変。
だから とても重要な  “脇役”  って感じなんだ。

ふのりの量によって ボカシの足の長さ (カクっとボケてるか徐々にボケてるか) の調節もしやすいし
興味があったら 先ずは小品で試してみてね!  
肝心なのは やってみる事だよ!   (God bless you!)



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2007年04月01日 Posted by 染師 麗 at 01:01仕業中

蝋伏せ

“三十三間堂の帯” も とりあえず上がって、その他の帯も手を掛け始める。

  “ふのりボカシ” をする前の準備として 蝋伏せをする。

  ← 全体に 生成り になるくらいの 地入れ をして
    チョウチョ部分を 友禅 してある。



  ホントは マイクロワックスで “白付け” を
  したかったんだけど、チョウチョは出来るとして
  子供のシルエットは込み入ってて とても無理・・・
  という事で、今回は “白蝋” で少々厚めに 蝋伏せ

  白蝋は融点が低く 蝋が固まるまでがユックリなので
  細かい部分 を伏せるのには便利なんだ。
 ↑ 左側半分が 蝋伏せ 済み

今日はこれだけ・・・    いろんな仕事を並行して仕事をしてるので ジジィ くたくた・・・



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2007年04月01日 Posted by 染師 麗 at 01:00仕業中